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第164回 ようこそ学長室へ
~ 相手を敬い、ただひたすらに ~

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「自転車をオーダーメイドで作りたい!」という夢を持っていた伊藤先生と。

 雨後の新緑がひときは濃く感じられる今日この頃。皆さんいかがお過ごしでしょうか。今回のお客様は、4月から短期大学部保育科の特任講師として着任された、伊藤久志先生です。幼少期から現在までの事や教員生活で感じていること等、お話を伺いました。
 初めに幼少期の事を伺うと「広島県福山市で生まれて幼稚園まで過ごしました。小学校に入学する時、京都の長岡京市に移り、父に『散歩に行くぞ』と言われて付いていくと、近くの天王山に登ることがよくありました(笑)」と。いつも外遊びしている元気な子どもでした。その後、「地元の中学校から工業高校に進学して、卒業と同時に工場に勤めましたが、手先の不器用さに気づいて他の道に進むことにしました」との事でした。
 心理学に興味をもった理由は「最初は『心理学を学べばモテるかな?』という安易なものでした。ゼミの先生から子どもとの関り方や支援について学び、興味が広がりました」と。卒業後は「地域の総合病院やクリニックで発達障害の子どもや保護者支援をし、3年後にNPO法人の開設に関わりました。最後は開業して子どもや保護者支援を15年間してきました」と。心理学を活かした多様な現場で経験を積まれてきたことが分かりました。
 大学教員を目指した動機を伺うと「自分が影響を及ぼすことに限界を感じたことがきっかけです。教育現場で自分のスキルや考え方を若い人に伝え、より多くの人を助けたいと思いました」と、使命感を持って教員になられたことが伝わりました。
 実際に講義を通じて感じていることは「『自分が思っているほど簡単な事じゃないな』と感じています。これまでは切羽詰まった場面で、モチベーションの高い人を相手にしてきたのでやり易さがありました。学生はそうは行かないので難しく、考えれば考えるほど悪循環で、沼にはまっているような感じです」と教育の現場で戸惑いを感じているようでした。学生の様子は「心に不安や困難を抱える人を他の学生が自然に受け入れる、多様性が豊かな所に感心しています」との事。
 最後に教える上で大切にしていることを伺うと「教育を語れるようなレベルではありません。日々の講義の工夫、研究等、一つひとつ丁寧にやり、学生達と一緒に課題に向き合う中で、これから見つけていきたいと思います」と力強く語ってくれました。
 取材中、伊藤先生に質問するたびに、私の目を正面から見て「ハイ」という返事の後、丁寧に言葉を返す姿に感心しました。あたかも「あなたの気持ちを受け取りました。しっかりそれに応えます!」と言われているようで、自分の心を開いて相手の呼びかけに感謝する姿でした。まさしく「ハイ」の語源と言われる「拝」の実践でした。#学術 

取材後記:子ども達の心を掴む術を学んだことが今につながっている。人生どこで何がどう転ぶかわからない。対象は女性じゃなかったけど結果オーライ。笑(いまづ)

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