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第176回 ようこそ学長室へ
~ 明日を拓く生きる力 ~

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左から、肥田さん、私、北山さんと

 暑さ寒さも彼岸までと申しますが、相変わらず酷暑が続いております。皆さんお元気でお過ごしでしょうか。今回のお客様は、多治見市にあるC-POWERグループ代表肥田和明さん、株式会社SMC‐POWERクリエイティブ事業部部長北山園美さんです。肥田さんは生まれつき障害をお持ちですが、いつも明るくあふれんばかりのパワーのある方です。私との出会いは、十数年前のセミナーの場でした。先日、地元企業の式典で5年ぶりに再会したことがきっかけとなり、近況報告を兼ねて訪問して下さいました。キャッチフレーズ「創造を超える未知なる挑戦」を掲げ、ミッション「頼れる先を増やし続けて自立する」の下、新たな事業に果敢に挑戦している肥田さんに現在の心境を伺いました。
 まずこれまでの経緯を伺うと「2002年2月に創業して、10年間は個人事業主として名刺デザイン、パソコン教室、DVDのコピー等、食べていくために必死に働いていました」と。事業を始めた理由は「複数の企業を受けましたが、通勤や会社での生活の不自由さから、どこも受け入れてくれなかったので、自分でやるしかないと思いました」との事。2012年福祉事業部の立ち上げについては「生まれつき障害があり、行政の措置制度で18歳まで地元多治見を離れて岐阜市の施設で過ごしていました。40人に一人の介護者しか配置されていない劣悪な環境の中、孤独で辛かったのを覚えています。このような体験から名ばかりの『福祉』が嫌いでしたが、東日本大震災(2011・3)を目の当たりにして、もう一度、『福祉』と正面から向き合い、全ての人を幸せにできる社会の実現に寄与したいと思いが変化しました。そして行き着いたのが、『頼れる先を増やし続けて自立する』です。自分の体験から、頼れる先が何もないことが孤独を生むので、頼れる場所を増やし続けることが誰もが幸せな社会を実現することになる」との事。福祉を利用し、提供する立場の双方を知る肥田さんならではの発想だと感じました。北山さんに肥田代表について伺うと「最初は経営者が障害者であることに驚きましたが、今では障害を感じさせないほどフラットな関係です。マインドに共感しているので仕事もやり甲斐を感じています」との事でした。最後に学生へのメッセージを伺うと「『明日は我が身』と思って欲しい。病気や老いは、自分の意志ではどうにもならず誰にでも起こり得ることなので、福祉は身近なものであることを忘れないで」との事でした。
 今回の取材を通じて、障害を持って生まれたことによる辛く苦しい経験に基づいて、繰り返し考え、悩んだ先に肥田さんの信念があることが伝わりました。信念とは、言い換えれば一つの確信であり、『私は必ずこうできる、こうなる』という強い意志とも言えます。逆境を挑戦の場として捉え、前向きに生きる芯の強さを見習いたいと思います。#真剣味

取材後記:皆の人生が潤うように、ここはこう変えよう、次はこうしよう、その先は…等
あれこれ考えていると瞬きを忘れてしまい4分経過て…どうか瞳にも潤いを~。(いまづ)

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