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ようこそ学長室へ60
~ リーダーの在るべき姿 ~

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日髙先生と【撮影時のみマスクを外しています】

 皆さんこんにちは。梅雨明け後の猛暑もどこへやら、不順な天候が続いておりますが如何お過ごしでしょうか。さて、今回のお客様は、本年度から看護学部教授としてお勤めになり、公衆衛生看護学の関連科目をご担当されている日髙橘子先生です。先生は東日本大震災の折、甚大な被害を受けた陸前高田市に保健師として長期派遣(1年間)された経験の持ち主です。医療従事者を目指された経緯や震災でのご経験など伺いました。
 まず、保健師になられた経緯を尋ねると「教員を目指して大学受験しましたが、失敗して看護学校に進みました」との事。卒業後は看護師として勤めるものの、夜勤の多い生活が合わず、退職して改めて専門学校に通い、名古屋市に保健師として就職。市内各所の保健所に勤め、生活習慣病予防や地域でのリハビリ等に取り組んできたという事でした。
 その後、福祉係長として勤めていた2011年3月に東日本大震災が発生。「人々の健康を守る保健師で、リーダーができ、1年間家を空けられ、車の運転が上手な人」の条件に見合う人財として4月10日に派遣依頼があり、その後、承諾。4月22日、仮設住宅の立ち始めた陸前高田に到着したとの事でした。被災地で苦労したことは?と尋ねると「方言(気仙弁)に慣れておらず、初めの1か月はじっくり話を聞きながら、言葉、顔、名前を覚えるのに必死だった」との事。また全国から駆け付けた保健師、栄養士、リハビリ担当、ボランティア等、約150人をまとめるリーダーとして「どうやって全員を巻き込んで協力してもらうかに日々頭を悩ませ、途方に暮れる事も少なくなかった」と。しかしこのような苦しみの中「ルールと調整は必要だが、単純に考えて個々のやりたい意欲は止めずに、やれることをやってもらえばいい。これに気づいてやっと全体を俯瞰しながら動かせるようになった」との事でした。
 最後に、学生を教える中で特に大切にしている事を尋ねると「情報を独り占めにせず共有しながら他者に協力してもらうこと。『連携力』を付けること」との事。「やっぱり色んな人と接して人間力を磨かないとだめですね」と締め括って下さいました。
 今回の取材を通じて、リーダーとして様々な視点を持つことの大切さを実感しました。リーダーには「鳥の目、虫の目、魚の目」の3つの目が必要だと言われます。すなわち俯瞰的な視点や近視眼的、洞察力に富んだ視点等、複眼を持ちながら臨機応変にそれを活かし組織をまとめていく力です。被災地の切羽詰まった状況を乗り越えて行く過程には、様々な視点があり、そこから新たな気づきが生まれ、窮地を逃れる工夫につながったと思います。教育においても多くの視点を持ち、学生個々の力を引き出したいと思います。#地域貢献

取材後記:困難な状況の中でも明るく元気でパワフルな先生のおかげで、そこにいる人たちにも少しずつ笑顔が増え、仕事も楽しかったに違いない。ほんどにえがった(本当に良かった)。(いまづ)