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ようこそ学長室へ55
~ 心の声に灯を ~

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荒井先生と【撮影時のみマスクを外しています】

 新緑が目に眩しい季節となりました。皆様いかがお過ごしでしょうか。さて今回のお客様は、短期大学部健康栄養学科の専任講師荒井和樹先生です。先生は本学で主に福祉関係の科目を担当される傍ら、NPO法人「全国こども福祉センター」理事長として、若者たちの自立する力の育成を支援する活動をされています。これまでの活動内容やこの取り組みにかける思い等を伺いました。
 まず活動の契機について尋ねると、大学卒業後、勤めていた児童養護施設の子どもから「先生、このアプリ面白いよ。これやればすぐに彼女できるよ!」と言われ、 「自分より多くの事を知り、SNSで多様な人とつながるこどもの実情を知った事が始まりでした」と。その後、「管理、保護、救済を第一に考え、施設でこどもを守ることが本当に良い事なのか」「外にいるこどもの方が問題を抱え、支援する必要性が高いのではないか」等の疑問を持ち、2012年、10代の若者たちとNPO法人を立ち上げ、名古屋を拠点に活動を開始。現在では120名が在籍しているそうです。
 活動にあたっては、こどもたちが警戒心を解き安心して関われる着ぐるみ姿で街頭に出かけ、声掛けをしているとの事。活動当初の「どうして非公式のコミュニティにこんなに人が集まるのか」という驚きから始まり、継続する中で「誰でもいいので一緒に過ごしてくれる人や仲間を求めている」と気づき、現在では「大人が一方的、支配的に物事を進めるのではなく、こどもたちの小さな声を受け止めながら、対話と交流を通じて寄り添い、自ら気づかせることが大切だ」と考えるようになったそうです。
 取材中、一つひとつの質問に対して、温かい眼差しと笑顔と共に、穏やかに丁寧な口調で話される姿。「昔からそんな雰囲気ですか」と尋ねると「いや、良かれと思ってしたことで多くの人を傷つけてきたので・・」と言われたことが印象に残りました。「俺が何とかしなければ」と先走り、傷つけてしまった経験の上に今の姿があるのです。
 人間関係の構築は、全て相手を理解しようとすることから始まり、誰でも自分を分かってくれる人に心を開きます。見ず知らずのこどもであればなおさら、まず、相手をよく見て、言葉を聴き、全身で思いを受け止めることが必要です。関係性構築の一歩目を改めて大切にしたいと感じました。#真剣味

取材後記:福祉を定義づけすることは難しいけど、リアルな体験を通して自分にとっての福祉とは?を考える、教科書では学べないとても尊い活動に清き一票。(いまづ)