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ようこそ学長室へ30
~ 看て護るということ「がん看護学」~

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日浅先生と(撮影時のみマスクを外しています)

 秋気心地よい今日このごろ、いかがお過ごしですか。今回のお客様は、がん看護学を専門分野とし、がん看護専門看護師、がん放射線療法看護認定看護師でいらっしゃる、看護学部の日浅友裕先生です。多くの課題がある放射線看護の現状を目の当たりにして、臨床現場から大学教員の道へ。看護、教育、研究に関わる様々なお話を伺いしました。
 まず放射線療法と看護についてお尋ねしました。「放射線療法は、がんにミリ単位で機械を当て照射します。毎日少しずつ続けることが大切で、吐き気や皮膚のめくれ等の副作用があり、継続したケアが必要です」との事。
 またある患者さん(40代男性)の忘れられないエピソードを伺いました。男性の腕への治療は痛みが激しく、これまでも我慢を重ねて治療していたものの、その日は特にじっとしていられない状況だったとの事。そこで「今日はやめましょう。明日からまた頑張りましょう」と伝えると、返ってきた言葉は「やります!続けて下さい」と。実は男性の心には、車いすを押しながら付き添ってくれるお母さんに「弱い自分を見せたくない」との思いがあったのです。「結局、治療を諦めていたのは自分だけで、患者さんの心に寄り添うことの難しさを痛感しました」との事でした。
 最後に、学生達へのメッセージをお願いしました。
「患者さんが話したい時、辛くても逃げずに、しっかり受け止める心の準備を、日頃からしておくこと。そして専門的知識、スキルを活かすには人間性の豊かさが必要になるので、色んな事にチャレンジする学生生活を過ごして欲しい!」
 取材を通じて、「看る」には、目に見える現象をとらえるだけでなく、背後にあるものを「推し量るように努める」ことが大切だと感じました。人はそれぞれ、生い立ち、家族、環境等、これまでの人生を通じた膨大なものを背負っています。また、目まぐるしく変化する心もはっきりとは目に見えるものではありません。一度にこの全てを理解することは無理だとしても、推し量ろうと努める姿勢が「看る」につながるのだと。
#学術

取材後記:「ガン」だとわかって動揺しない人は、たぶんいない。でも、その気持ちを誰よりも理解し、安心して治療に臨めるようにしてくれるのは看護師さんで、なくてはならない存在。(いまづ)